1.緊急機関起動・離岸訓練の必要性
東日本大震災においては、津波の来襲によって船舶や港湾施設に甚大な被害が発生しました。南海トラフ巨大地震の発生のリスクも高いと指摘されており、国土交通省では、海運事業者に「船舶津波避難マニュアル」の作成と、津波避難訓練の実施を呼びかけています。
海運事業者にとっては、いつ発生してもおかしくない大津波への備えが重要な課題の一つとなります。しかし、内航船の場合、例えば仮バース中に大地震が発生した時に、果たして船内に残っている乗組員だけで迅速に機関を起動し、津波の襲来前に沖出し出来るのか、大きな不安があります。また、一般的には機関配置や起動手順は標準化されておらず、船毎に異なっているのが現実です。
このため、全ての乗組員にもわかるように船毎に機関起動・離岸できる最低限の知識を再整理し、それをもとに訓練する必要があります。
一般社団法人 船舶安全機構(以下、機構という。)では、内航船を対象に、緊急時の機関起動・離岸能力を維持確保するための訪船指導訓練事業を平成26年4月より開始いたしました。

2.訪船指導訓練の流れ
  機構による訪船指導訓練は以下に示す流れに沿って進められます。

1. 機構の指導員が訪船し、船長・機関長と面談の上、「緊急機関起動手順」について検討し、その内容を確定します。
2. 機構が手順書(写真説明付き)を作成します。
3. 機構が手順番号札(不燃性夜光塗料付き)を作成し、船側で各機器へ取り付けていただきます。
4. 機構の指導員が訪船し、全乗組員対象に講義を行い、その後、全乗組員参加による緊急機関起動訓練を実施します。
5. 機構から「緊急離岸訓練終了証書」と「緊急離岸訓練記録簿」を交付します。(その後、隔月で訓練を実施し、所要事項を記録に残していただきます。)


3.訓練による到達目標
機構の訪船指導訓練活動を経て、到達しうるレベルとしては、以下を想定しています。なお、乗組員の交替時には、出来るだけ早期に訓練を実施し、緊急離岸能力の確保維持を図る必要があります。

1000G/T以下の内航船においては、乗員2名により、5分以内に機関を緊急起動した後、離岸する(通常状態では10分程度)

4.訪船指導訓練の経費
  指導訓練対象船の船種、大きさ、乗組員数によって内容(経費含む)は多少変動いたします。
  【 基本料金 ¥200,000(別途交通費) 】

499G/T 貨物船 例
訪船1回目 マニュアル作成のための調査
訪船2回目 マニュアル等の配布、講習及び訓練実施
(写真入りマニュアル、Noプレート、機器配置図)


5.問い合わせ先
   一般社団法人 船舶安全機構
   住 所 : 734-0011 広島県広島市南区宇品海岸2丁目23−36広島海上ビル
   電 話 : 082-505-1089
   F A X  : 082-253-3355
   Eメール : info@senpaku-anzen.jp
   担当者 : 渋江良治